FISHERMAN

2005年7月

高知のアカメ

FISHERMANフィールドテスター

滝内 薫

 


アカメ、この魚には夢とロマンがある。あのたくましい魚体、ルビー
色の瞳が見たくて幾度となく私を高知へと走らせてしまう。

そして今年もその季節がやってきた。今回で5回目のアカメ釣行だ。

週末、仕事を早々に終わらせ高知へと向かう。

先日、高知の西村さんが112センチと135センチ、30キロオーバーを立て続けに釣り上げており

道中自分にもチャンスがあるのではないかと期待が膨らむ。

片道400キロの距離も終わりに近づいた。深夜0:30ポイントに到着。

先に西村さんが来ており合流した。先行者が二人いたが私と入れ違いになり帰って行った。

ポイントには誰もいない、あせる心を押さえながらタックルの準備に取り掛かる。

KAIEN・AKAME962にステラSW5000PGをセット、準備が完了しポイントへと向かう。

今日の汐は、満潮が0:00であり下げに入って潮も動きだした。

ポイントを見つめると、ベイトフイッシュのボラの数がいつもより多く、活性も高い。

 

気温、湿度も高く何もしなくても汗ばんでくる。

いかにもアカメが釣れそうな雰囲気である。

西村さんが「滝君今日は、絶対釣れるよ」と言った。私もその言葉を聞いて気合いが入る。

ルアーをセットし実績のあるポイントに入りキャストを開始する。

隣でキャストをしている西村さんに数投目にヒット、見に行くと70センチクラスのマルスズキであった。

素早くリリースし釣りを再開。1時間程ロッドを振るが何のアタリも無い、

下げがゆるくなりベイトフイッシュの気配も無くなり休憩することにした。折畳み椅子に座りながら、

西村さんとポイントの状況を見つめる。30分ぐらい休憩しただろうか?

潮が下げだしてきて、ベイトフイッシュの活性が上がってきた。

1匹のボラが怪しい跳ね方をした。西村さんが「滝君、あの跳ね方は怪しい!アカメが近くにいる」

私は立ち上がりすかさずボラの跳ねた辺りを狙う。数投後、着水して10m巻いたところでいきなり

ルアーをひったくるようなアタリがきた。

思わず「きたっ!」と叫んだ。

フッキングを入れたと同時にドバッドバッとものすごいエラ洗い。

間違いないアカメである。西村さんもロッドを置いて駆け寄ってきてくれた。

魚の引きからすると90センチサイズかなと思い、慎重にやりとりには
いる。周りには何の障害物もない、強引に寄せる必要がなく、ゆっくりとポンピ
ングをしながら魚を寄せにかかる。ロッドはイエローテールの青物用ブランクを改良して作ってもらった

KAIEN・AKAME962、ラインも20LB、リーダーはステルス60LB、

タックルには全く不安はない、アカメの走りにも余裕を持って対応できる。

2〜3回エラ洗いをし、アカメは、寄ってきた。しかし、このまま終わるわけはない、やはり沖に向いて走った。

 

 

KAIEN・AKAME962+スーパーステルス60lb

 

 

10m一度止まり更に10mそこでエラ洗い、でもこれが最後の抵抗であった。

また、ゆっくりとアカメを寄せにかかる。手前にきたところでライトをつけた。

西村さんが「滝君、でかいよ!メーターはある」とアカメのサイズを教えてくれた。

そのまま後退りして浅瀬に誘導、西村さんにリーダーを取ってもらい、

ヒットしてから7分後、アカメは浅瀬に横たわった。

私もアカメのそばに駆け寄る。見た目にでかい、これは20キロはあると確信した。

西村さんが「滝君、おめでとう!これでミノウオクラブ入会やね」と言ってくれて、がっちりと握手を交わした。

メジャーをあてて検量すると113センチ、21キロの立派なミノウオであった。

アカメを狙い始めて、8年目にしてやっと幸運の女神が微笑んでくれた瞬間であった。

その後、アカメの体力を復活させるため、ストリンガーにつないで深場へと誘導する。

そして、朝を迎えアカメの体力の復帰しているのを確認し、写真撮影を行なう。

魚を痛めるのを避けるため自分が水の中に入り丁寧に写真を撮った。

そして、リリースお別れの時がやってきた。アカメはゆっくりと大河へと帰って行った。

元気よく帰って行ってくれたことが一番うれしく思う。
又、更に大きくなって合おう、心の中でつぶやいた。ランディングを手伝ってくれた西村さん、

写真撮影を手伝ってくれた内田さん、この場を借りてお礼申し上げます。

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